おさかな天国

今はただ、前へ泳ごう。

夢を見た

 

 

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怖い夢を見た。

悪夢だった。目が覚めると少し泣いていた。

 

詳細な夢の内容は忘れてしまったが、簡単に言えば、私が何も考えずにやったことが実はやってはいけないことで、そのことで母と妹に非難されるという夢だった。

夢の中で私は、母と妹に叱責されながらもなぜ自分がそうやって責められているのかが分からなかった。悪いことをしたという認識がまったくもって無かった。納得できない理由で非難されている状況に耐えられず、私は二人に対して反論した。すると、「どうしてそう強情なんだ」「そういうところがいけないんだ」とさらに糾弾されてしまった。反論は無駄に終わった。むしろ状況を悪化させただけだった。

こうなるともう自分に非を認めるしかなかった。自分が悪いことをした意識もないのに、ひたすら二人に対して謝っていた。

謝り続けて、頭の中が「自分はダメな人間なんだ」という考えで満たされたところで目が覚めた。

 

瞼をこじ開けると、外はもう明るくなっていた。

目尻ににじんだ水滴を拭き取り、もう一度眠りにつこうとした。見たばかりの悪夢を早いところ記憶の中から消し去ってしまいたかった。

しかし、いつまでも意識ははっきりしたままだった。むしろ、やらない方が良いことは分かっているのに、さっきの夢の内容を脳内で繰り返し再生してしまう。リピートを重ねるごとに、自分を卑下する思いがどんどん募っていった。

無意識のうちに人を怒らせたり傷つけたりしてしまう自分が、自分の思っていることさえ満足に伝えられない自分が、たいしたことない夢のせいでどうしようもない自己嫌悪を募らせてしまう自分が、嫌で嫌でたまらなかった。自分が嫌な自分が、嫌だった。

 

そして何より、夢の中とは言え、自分の大好きな人たちに自分の話をまともに聞いてもらえなかったことが悲しかった。

私にとって家族は、ダメな自分のことを受け入れてくれる数少ない存在だ。それだけ私にとって大切な家族にさえ、ついに私は見捨てられてしまったのだと、夢の中の私は感じたのだろう。そして夢から覚めた私は、今の私を受け止めてくれる人たちも、ちょっとしたことで自分から離れていってしまうのではないかと不安になった。

 

私は、人から見捨てられるのが怖い。人に嫌われるのが怖い。

こんなことを考えているから、まともな人間関係を築くことができないんだということは分かっている。それでも、大好きな人たちを失うのが怖くてうまく自分を表現することができない。

こんな性格のままで、これから社会に出てやっていけるのだろうかと思うと、自分の将来がまったく見えなくて余計に不安が募る。

 

そんなことを考えながら布団の上で起き上がっていたら、ちょうど近くにいた母が心配そうに私に声をかけた。休みに入ってからは、毎日昼前になってからようやく布団から起きだしていた私が明け方に起きていることを疑問に思ったのだろう。

「大丈夫?」と聞かれたので「大丈夫」と答えた。

大丈夫か大丈夫じゃないかと聞かれれば、自分はどちらかと言えば大丈夫だと思った。

 

大丈夫。

私は大丈夫だ。

根拠はないけれど大丈夫。そう思っていないと未来に絶望してしまいそうだ。

薄明るい部屋の中、もう一度目を閉じた。今度は怖い夢を見なかった。